偏食の背景は子どもによってさまざまです。記事の内容をわが家の食卓に合わせて考えたいときは、みらいキッズモンテチャットで一緒に整理できます。栄養や体重の心配がある場合は、まずかかりつけ医・栄養相談窓口にご相談ください。
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「せっかく作ったのに、また野菜を残された」「白いご飯とお肉しか食べてくれない」
毎日の食事のたびにこんなやり取りが続くと、栄養が偏っていないか、このまま好き嫌いが直らないのではないかと、心配になってしまいますよね。
偏食は、多くの子どもに見られる自然な発達の一過程です。わがままでも、しつけの失敗でもありません。そのうえで、無理に食べさせようとするより、家庭で今日から試せる関わり方を変えることで、少しずつ食への抵抗感がやわらぐことがあります。
この記事では、偏食が起こる背景と、モンテッソーリの「自分で選ぶ」日常生活の練習の視点を取り入れた、無理なく直す工夫を紹介します。
田中 洋子
まず、偏食がなぜ起こりやすいのかを知っておきましょう。原因が分かると、「困った行動」ではなく「その子なりの理由がある行動」として見えてきます。
子どもの舌は大人より味を強く感じやすく、特に苦味や酸味に敏感です。ピーマンやトマトを嫌がるのは、大人が思う以上に強い刺激として感じているからかもしれません。食感や温度、匂いへの敏感さも、大人より強く出ることがあります。
見慣れないもの・食べたことのないものを警戒するのは、動物としてごく自然な防衛反応です。特に2〜5歳ごろは、この警戒心(新奇性恐怖)が強く出やすい時期といわれています。
「イヤ」「食べない」という拒否は、自我が育ってきた証でもあります。食べる・食べないを自分で選びたいという気持ちが、偏食という形で表れることがあります。
モンテッソーリ教育は、イタリア人医師マリア・モンテッソーリが100年以上前に開発した教育法です。世界140カ国以上で実践され、日本でも保育園・幼稚園から小学校まで広がっています。
「子どもは自分で育つ力(自己教育力)を持っている」という考えが中心にあります。大人が食べさせる・教え込むのではなく、子どもが自分で選び、自分で行動できる環境を整えることで、生活の力が自然に育つと考えます。
モンテッソーリ教育では、食事の場面も「日常生活の練習」の一つと捉えます。大人が皿に盛った量をすべて食べさせようとするのではなく、子ども自身が「何を」「どれくらい」食べるかに関わる経験を大切にします。
たとえば、小皿に少量ずつ数種類を並べ、子ども自身に選ばせる、自分でスプーンを使って盛り付けさせるといった関わりです。これは食べ物で遊ぶことを促すものではなく、「自分で選んだ」「自分でよそった」という達成感を通じて、食への関心を育てる関わり方です。
なお、食事中に食べ物で遊んでしまう「遊び食べ」は、偏食とは別の悩みとして扱われることが多く、この記事では深く扱いません。
大皿にまとめて盛るのではなく、小さな器に少量ずつ数種類を並べて出してみましょう。量が少ないことで「食べきれた」という達成感を得やすく、選ぶ余地があることで、拒否より先に「どれにしようか」という関心が働きやすくなります。
初めての食材や苦手な食材は、いきなり口に入れさせようとせず、見る・匂いをかぐ・触れる・自分でお皿に取るといった、食べる一歩手前の関わりから始めます。段階を踏むことで、警戒心が少しずつやわらぐことがあります。
好きな食材の隣に、苦手な食材をごく少量だけ添えてみます。「全部食べる」ではなく「今日はひとかけら食卓に乗った」ことを小さな一歩として捉えましょう。
トングやスプーンで自分の分を取り分ける、食卓に食器を並べるなど、食事の準備に子ども自身が関わる機会を作ります。自分が関わった食事には、受け身で出された食事より関心を持ちやすくなります。
「全部食べたね、えらいね」ではなく、「自分でよそえたね」「今日は見てみたね」と、食べた量ではなく関わったプロセスを言葉にして認めます。結果より過程を認められる経験が、次に挑戦する意欲につながります。
良かれと思ってやったことが、かえって偏食を強めてしまうこともあります。次の対応は避けましょう。
強制や比較は、その食品や食事の時間そのものへの苦手意識を強めてしまうことがあります。「今日は食べられなかった」を失敗として扱わず、次の食事でまた小さな一歩を試す姿勢が、長い目で見て近道になります。
ここまでの工夫は、家庭でできる関わり方の一例です。ただし、次のようなサインがある場合は、家庭内の工夫だけで様子を見続けず、かかりつけ医や自治体の栄養相談窓口に相談してください。
この記事は一般的な情報であり、個別の栄養・発達の診断や医療判断に代わるものではありません。みらいキッズモンテチャットも、医療行為や診断の代わりにはなりません。栄養面や体重の増え方に心配があるときは、家庭での工夫を試す前に、まずかかりつけ医や自治体の栄養相談窓口へご相談ください。
A. 終わる時期に一律の目安はありません。味覚や食への警戒心は2〜5歳ごろに強く出やすく、成長とともに少しずつ食べられるものが増えていくことが多いですが、ペースには個人差があります。「いつか食べられるようになる」前提で、今の偏食を無理に減らそうとしすぎないことが大切です。
A. 特定の食品群をまとめて食べない状態が続く場合は、自己判断でサプリメントを使う前に、かかりつけ医や自治体の栄養相談窓口に今の食事内容を伝えて相談してください。同じ栄養素を含む代わりの食品を一緒に探してもらえることもあります。
A. はい。無理に口に入れる、食べるまで席を立たせないといった対応は、その食品への拒否感をかえって強めることがあります。まずは見る・触れる・匂いをかぐなど、食べる一歩手前の関わりを大切にし、食べられた量ではなく関われたことを認めてあげてください。
A. 偏食は「特定の食品を避け続ける」状態、遊び食べは「食事中に食べ物で遊んでしまう」状態で、背景が異なります。この記事は偏食への向き合い方を扱っています。遊び食べへの具体的な対応は別記事で扱う予定です。
A. 母子健康手帳の成長曲線から大きく外れている、体重が増えていかない、食べられる食品の種類が極端に少ない、特定の食品群(乳製品・肉魚・野菜など)をまとめて長期間避けているといった場合は、かかりつけ医や自治体の栄養相談窓口に相談してください。
偏食は、味覚や自我の発達に伴う自然な段階であり、多くは成長とともに少しずつ変化していきます。
今日すべてを変える必要はありません。まずは小皿に少量ずつ並べてみる、盛り付けを任せてみるなど、できることを一つずつ試してみてください。