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「保育園にも教育はあるの?」「園によって教育方針が違うと聞くけれど、何が違うのかわからない」——保育園を選ぶ段階で、そんな疑問を持つ方は少なくありません。
保育園の教育は、「教育する園」と「しない園」に分かれているわけではありません。保育の中で何を大切にし、それを毎日の場面でどう実践しているかが園によって異なります。だからこそ、方針の名前だけで優劣をつけず、違いを見分ける物差しを持っておくことが大切です。
この記事では、保育園における「教育」の意味を整理したうえで、教育方針を比べる5つの軸、代表的な方針の考え方、家庭の価値観ごとの考え方、そして見学・体験で実際の保育を確かめる質問をまとめました。費用や制度、家庭タイプ別の判断基準は別記事で扱っているため、ここでは教育方針の違いに絞って解説します。
田中 洋子
まず前提として、保育園の「教育」が何を指すのかを整理します。
保育所保育指針(厚生労働省)では、保育所は子どもの状況や発達過程を踏まえ、環境を通して養護と教育を一体的に行うことを特性としています。養護は生命の保持や情緒の安定を支える関わり、教育は子どもが健やかに成長し活動が豊かに展開されるための発達の援助です。
つまり、どの保育園でも制度上は教育的な関わりを行っています。「保育園は預かるだけで教育はしない」という捉え方は、制度の位置づけとは異なります。
同じ保育指針の枠組みの中でも、園によって重視するものは異なります。自分で選んで取り組む活動を大切にする園、体を動かす経験を厚くする園、英語や音楽に触れる機会を多くする園、遊びの中の自発性を大切にする園など、さまざまです。
ここで見るべきは「教育をしているか」ではなく、その園が何を大切にしていて、それが日常の保育にどう表れているかです。
方針の名前(モンテッソーリ、英語、運動など)だけで比べると、実態の違いが見えにくくなります。次の5つの軸で見ると、園ごとの違いを同じ物差しで比べやすくなります。
子どもの興味から活動が始まるのか、先生が用意した活動を全員で進めるのか、という違いです。子ども主導は自発性が育ちやすい一方で、活動の幅は環境や大人の準備に左右されます。大人主導は経験の幅を揃えやすい一方で、子どもの興味とずれる場面も出ます。どちらが優れているかではなく、園がどちらに重きを置いているかを知ることが大切です。
一人ひとりのペースに合わせて進める場面が多いのか、みんなで同じ活動をする場面が多いのか、という違いです。集団活動には、周りと一緒に取り組む経験や協調性を育てる良さがあります。個別の活動には、自分のペースで深く取り組める良さがあります。多くの園は両方を組み合わせているため、割合を見ます。
1日の中で、子どもが自分で活動を選んで取り組む時間がどのくらいあるかを見ます。選べる時間が短くても、それが園の方針として納得できる形になっていれば問題ありません。「自由に選べる」と説明している場合は、その時間の長さと、選べる活動の種類がどう用意されているかを確認します。
年齢別のクラスで過ごす時間が中心なのか、異なる年齢の子どもが同じ空間で関わる場面があるのか、という違いです。異年齢の関わりには、年下の子が年上の子の姿から刺激を受け、年上の子が教える経験を持てるという側面があります。年齢別クラスには、発達段階に合わせた活動を組みやすいという良さがあります。
子どもが困っているとき、先生がすぐ手を貸すのか、少し待って様子を見るのかは、園の教育観がよく表れる部分です。「教える」役割を重視する園と、「環境を整えて見守る」役割を重視する園では、先生の立ち位置が違います。
ここでは、保護者が比較する機会の多い方針を、考え方の違いとして紹介します。優劣や順位をつけるものではありません。園によって実践の仕方は大きく異なるため、あくまで一般的な特徴として捉えてください。
イタリアの医師マリア・モンテッソーリが確立した教育で、子どもが自分で活動を選び、集中して取り組むことを大切にします。「整えられた環境」「自由選択」「異年齢の関わり」「大人はガイド役として見守る」といった特徴があります。前の章の5つの軸では、子ども主導・個別中心・選択の自由が高く・異年齢・先生は見守り寄り、という位置づけになりやすい方針です。
モンテッソーリ教育の考え方そのものについて詳しく知りたい方は、あわせてこちらもご覧ください。
英語に触れる機会を日常の保育に取り入れる園です。英語で過ごす時間の長さ、ネイティブの先生がいる頻度、通常の保育とどう組み合わせているかは園によって大きく違います。「英語あり」という表示だけでは実態が分かりにくいため、週にどのくらいの時間、どんな形で英語に触れるのかを具体的に確認します。
体育指導や体操、リトミックなどの音楽・リズム活動、文字や数のプログラムなどを組み込んだ園です。先生や外部講師が進行するプログラムは大人主導・集団中心になりやすい一方、経験の幅を広げられるという良さがあります。プログラムの時間と、子どもが自由に過ごす時間のバランスを見ると、園の方針が分かります。
決まった学習プログラムを多く設けず、遊びの中での気づきや友だちとの関わりを大切にする園です。子どもの自発性を重視する点でモンテッソーリと重なる部分もありますが、環境の整え方や先生の関わり方は園によって違います。「遊び中心」という言葉だけでは、放任なのか、意図的に環境を用意しているのかが分かりません。
当園(みらいキッズモンテプリスクール)は、モンテッソーリ教育を軸に、英語・リトミック・クッキング・体育・華道といった活動を保育の中に取り入れています。これは数ある方針の中の一つの例であり、他の方針より優れているという意味ではありません。子どもと家庭の考え方によって、合う園は変わります。
当園では、子どもが教具を自分で選ぶ場面で、先生は「やってみる?」と声をかけて促す程度にとどめ、何を選ぶか、やるかどうかは最終的に子ども自身が決めます。
5つの軸のどこに重きを置く園が合うかは、子どもの気質や家庭の価値観で変わります。あくまで考え方の一例ですが、次のように整理できます。
選択の自由の時間が確保されているか、先生が先回りせず見守る姿勢かどうかを重点的に見ます。
英語・音楽・運動など、経験できるプログラムの種類と時間を見ます。同時に、プログラムの間に子どもが自由に過ごせる余白があるかも確認しておくと、1日の全体像がつかめます。
一斉活動や行事の位置づけを確認します。集団活動が中心の園は、みんなで取り組む経験を得やすいという良さがあります。
一人ひとりのペースに合わせる場面の多さや、先生一人あたりの子どもの人数を確認します。
どの価値観が正しいということはありません。大切なのは、家庭として何を優先したいのかを先に言葉にしておくことです。
園のホームページや案内に書かれた理念は、どの園も魅力的に書かれています。そのため、比べるときは説明文と実際の保育が結びついているかを確かめることが大切です。
方針について質問するときは、抽象的な内容より、具体的な場面を聞くと実態が見えやすくなります。
説明が具体的で、実際の場面と一致しているかが、方針が実践されているかを見る手がかりになります。当園では、入園前に実際の園の様子を見学していただき、方針もご説明したうえで入園を決めていただいています。そのため、入園後に方針のずれが起きにくい運用にしています。入園後の保護者アンケートの結果は「保護者様の声」で公開しています。
見学時の質問全般や確認項目は、次の記事も参考にしてください。
保育所保育指針では、保育所は養護と教育を一体的に行う場と位置づけられています。教育は机に向かう学習だけを指すのではなく、生活や遊びを通して育てる関わりを含み、1歳以上では健康・人間関係・環境・言葉・表現の5領域、1歳未満では「健やかに伸び伸びと育つ」「身近な人と気持ちが通じ合う」「身近なものと関わり感性が育つ」の3つの視点で整理されます。したがって「教育をする園としない園」に分かれるのではなく、何を重視してどう実践するかが園によって違います。
ホームページや園案内で理念を確認したうえで、見学や体験で実際の保育を見て確かめるのがおすすめです。1日の流れの中で子どもが活動を選べる時間があるか、先生がどんな場面で声をかけるかなど、理念が日常の場面としてどう表れているかを見ます。
特色のある園が一律に良いわけではありません。子ども主導の活動が合う子、先生の導きのもとで進める活動が合う子など、子どもと家庭の価値観によって合う園は変わります。特色の名前より、日常の保育でどう実践されているかを比べてください。
完全に一致する園を探すより、譲れない点と許容できる点を分けて考えると判断しやすくなります。見学や体験で疑問点を園に直接質問し、説明の仕方や先生の考え方に納得できるかも判断材料にしてください。
子どもが自分で活動を選ぶ場面があるか、先生がどのタイミングで手を出し口を出すか、異なる年齢の子どもが関わる場面があるか、理念の言葉が実際の場面と結びついているかを見ます。あわせて、その園の方針について先生に具体的な場面の例を聞いてみてください。
教育方針の違いは、文章を読むだけではつかみにくいものです。気になる園があれば、説明文だけで判断せず、実際の環境や先生の関わり方を見る機会をつくってみてください。
説明文だけでは分かりにくい保育の進め方や先生の関わり方を、初回無料の体験クラスで実際にご覧いただけます。
